今まで無料だった銀行口座が有料に?
銀行に口座を持っているだけで手数料がかかる口座維持手数料の導入を各銀行が検討しているというニュースがありました。
いつから導入され、口座維持手数料が一体いくらになるのでしょうか?
また、導入後に起きる問題についても見ていきたいと思います。
禁じ手とも言われる口座維持手数料を検討せざるを得ない銀行業界の深刻な状況とは!
使っていない口座があると損をすることもあるようなので利用者の関心が高まっています。
2019年11月13日と14日に3大メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの中間決算会見が行われます。
この会見で注目されるのが口座維持手数料。
3大メガバンクが導入検討に言及するのか内容に注目されています。
口座維持手数料って何?いつから導入されるの
口座維持手数料とは銀行に口座を持っているだけで手数料がかかってしまうことです。
例えば次のようになります。
現状では普通口座でA銀行に10万円を1年間預けた場合
1年預けるとだいたい利息がプラス1円(0.001%)
10万預けると1年で1円戻ってくるというか、プラスになります。
当たり前のことなのでここまでは問題はありませんね。
次に、口座維持手数料の場合を見ていきましょう。
あくまでも実施されたとしたらの話ですが、次のようになります。
ポイント
預けているだけで手数料が発生します。
どのくらいの手数料がかかるのかはこの後、記載しています。
場合によったら手数料が利息分を上回る可能性があるのです。
そうすると預けているだけで、どんどん預けたお金が減っていくという、おかしな事が起こる可能性があるのです。
銀行にお金を預けて何もしないと気づいたら自分のお金が減っているという、ちょっと怖い話です。
預金の種類にもよるよですが、理屈の上ではマイナスになることもあるそうです。
では、なぜこんなことが言いだされたのでしょうか?
口座維持手数料の発端
銀行が厳しいという状況もあります。
発端は2019年の8月でした。
日本銀行が次のように言及しています。
貸出金利が一段と低下した場合、金融機関が預金に手数料等を賦課(ふか)することも考えられる。
この発言が発端でした。
聞きなじみのない口座維持手数料ですが、すでに言及している銀行もあります。
都市銀行よりも厳しい地方銀行では、日銀のマイナス金利政策が来年も続けば、禁じ手だった口座維持手数料で運用のマイナスをカバーすることに踏み切らざるを得ないだろう。
口座維持手数料で銀行の損失・マイナスをなんとか補填していくしか手はないんだ!というくらい地方銀行は厳しくなっている。
一方で私たち、銀行を利用している方の意見ではこのような声も聞かれました。
30代
素直な感想としては、もう口座には預けたくない。タンス預金にします。
そりゃあそうですよね、タンスに入れておけば増えないけど、減りませんからね。
60代
年金口座で手数料取られたら腹立たしい。
こちらも、おっしゃる通りですね。
自分で稼いだお金が使っていないのに減っていくのは何のために節約生活をしているのかわからなくなりますね。
導入されるとしたらいつからなのかは、中間決算会見での発言が注目されます。
しかし、なんと海外ではすでに口座維持手数料が一般的なんです。
海外の口座維持手数料の状況
海外ではすでに一般的で、フランス・アメリカなど銀行にお金を預けていると手数料が掛かります。
フランスでは9割の銀行が口座維持手数料を徴収しています。
いくらくらいの金額なのか?(2018年)
- 月に200円
- 年額:約2,400円
過去5年で3倍に引き上げられています。
場合によっては今後も引き上げられることが考えられます。
アメリカでは6割の銀行が口座維持手数料を徴収しています。
いくらくらいの金額なのか?
- 月に870円
- 年額:約1万440円
結構、高額な手数料が掛かるようですが、条件があります。
条件は常に口座に5万5000円以上の預金があれば手数料が免除になります。
5万5000円以上通帳に預金があれば手数料がとられることもなく、優遇されることになります。
このように海外では導入されているようですが、実は日本でも過去に手数料が発生していたことがありました。
過去には日本でも口座維持手数料が導入されていた
今は無いのですが、過去に手数料を導入していた銀行もあります。
- 2001年東京三菱銀行(当時)
- スーパー普通預金:月300円
当時の東京三菱銀行がスーパー普通預金というのを発売して、月額残高が10万円以上あれば免除なんですが、そうじゃない人は月額300円の手数料が徴収されていました。
ただ、ローン金利優遇やATMの夜間手数料が0円などの優遇される面もありました。
- 2002年三井住友銀行(当時)
- ワンズ・プラス:月200円
ワンズ・プラスというのを発売して、月200円の口座維持手数料が掛かるのですが、預金残高が30万円以上あれば免除になっていました。
ただ、こちらも優遇されていた面があり、金利が0.03%と今と比べると高い状況でした。
しかし、いずれも浸透せずに廃止となっています。
やはり日本人の中には、なんでお金とられなきゃいけないの?という意識があり数年でなくなっていったようです。
そんな中、これから口座維持手数料が導入されようとしていますが、いくらになるのでしょうか?
口座維持手数料はいくらかかるの?
日本で口座維持手数料が導入されるとしたらいくらくらいになるのかを見ていきます。
あくまでも現時点の予想ですが次のようになっています。
なんと、月当たり数百円~千数百円。
結構な金額ですね。
最初は千円とかにはならずに、数百円単位になると予想されています。
銀行の収益次第で手数料がだんだん上がったりすることも考えられます。
経済が良くなると金利が上がりますから、金利による収入が増えると銀行が少しうるおうので手数料に頼らないですむ場合もあります。
ただ、先程紹介した海外の事例のように、預金が一定額以上あれば免除の可能性があります。
例えば年金受給者については維持手数料も免除するなど。
気になるのは日本の銀行が導入するかどうかですが、判断は銀行ごとになるのではないかと言われています。
そうなると導入する銀行としない銀行で格差が広がる可能性もある。
口座維持手数料を導入できないかもしれない銀行もあります。
口座維持手数料をゆうちょ銀行は導入しない
導入は銀行によって違いがあるようですが、そもそも口座維持手数料の導入が難しい銀行があります。
それが「ゆうちょ銀行」
「ゆうちょ銀行は誰もが等しくサービスを受けられる責務を負っている」ということなので、おそらく口座維持手数料は難しいのではないかと言われています。
当面は導入しないのではないかということです。
ということは、ゆうちょ銀行にみんなが乗り換える可能性もあります。
そうするとゆうちょ銀行は良いのでしょうが、ゆうちょ銀行に乗り換えられる銀行は大変です。
また、ゆうちょ銀行の方は良いかもしれませんが、手数料を抑えるために私たち利用者も考えなければいけません。
私たちはどうすればいいの
では手数料を抑えるためにはどうすればよいのでしょうか?
それは複数の口座を集約することです。
銀行口座を見直すべき時期
最近では複数の銀行に口座を持っている方も少なくありません。
給料振込用はA銀行、買い物用はB銀行など、2つ以上の銀行口座を持っているなんて方も多いでしょう。
また、現在は利用していないけど、以前C銀行で作った通帳がある!なんて方もいるでしょう。
そうするとそれぞれに口座があるわけなので、それぞれに手数料が掛かってしまいます。
そこで私たちができる事が、口座を集約することです。
現在使用していない口座などがあれば一度見直しておくべきかもしれませんね。
そうすると結果としてどうなるのかというと、地方銀行など小規模銀行が不利になるのではないかと考えられます。
C銀行をやめて、A銀行に合わせようとか。このようになります。
とはいえ、そもそも日本人は口座を作りすぎで、これが銀行の収益を圧迫しているようです。
休眠口座などが銀行を圧迫
現在日本全体の銀行口座数は約12億口座で、人口の10倍です。
しかし、複数口座を持っていても実際に使用されている口座は6割で、残りの4割が休眠口座となります。
ポイント
この休眠口座は銀行側から見るとお金が掛かります。
通用の印紙税:200円
マネーロンダリングなど不正防止のチェックなどに各口座にお金が掛かります。
一つの口座に掛かる年間のコストは2,000円~3,000円。
使われている口座も、休眠口座も同じ金額が掛かります。
現在日本の4割が休眠口座ですが、計算すると次のようになります。
全体の口座が約12億なので、その4割が4.8億口座が休眠口座です。
4.8億口座×コスト3,000円=となります。
そうすると銀行から見ると年間、約1兆4400億円が使われていない口座の為にお金が掛かってしまう訳です。
何もしていない休眠口座にお金がかってしまうので銀行から見たら大変です。
銀行が儲からない体質に加えて、これだけの金額が掛かるのですから、銀行にとっては大きな問題です。
そこで口座維持手数料を導入すれば、私たち利用者が休眠口座を見直すのでコストが減ります。
すると銀行に掛かっていた年間1兆以上のコストが減るということになります。
また、銀行全体の業績が不振なことも背景にはあるようです。
銀行不況の2つの要因
銀行は融資をして利息をとり利益を上げていますが、年々厳しい状況になっています。
銀行の業務純益を推移では次のようになっています。
- 2004年度:6.4兆円
- 2018年度:3兆240億円
ピーク時の2004年と比べると半分以下になっています。
過去20年で最低水準で、かなり深刻な状況に追い込まれているようです。
さらに深刻なのが、地方銀行で2018年度の調べでは、全国105行のうち45行が赤字になっています。
なぜ不況に
ではどうして銀行不況となったのでしょうか?
要因は2つあります。
- 日銀マイナス金利政策
- キャッシュレス決済
それぞれを見ていきましょう。
日本銀行マイナス金利政策とは
私たちが銀行に10万円預けたとします。
そうするとだいたいの銀行で利息0.001%なので、私たちは銀行から1円の利息がもらえます。
そして銀行は日本銀行に法定準備預金として一定の割合を預けなくてはなりません。
日本銀行は銀行からお金を預かっているので、その分の利息を銀行に払います。
これが銀行の利益になります。
ところがマイナス金利になるとこの利息部分が逆になります。
日本銀行から得られる利息が逆になり、お金を預けているにもかかわらず、銀行が日銀に利息を払うことになります。
マイナス金利0.1%で100円の金利を支払うことになるのです。
私たちが10万円銀行に預けると、マイナス金利0.1%で100円の金利を銀行が日銀に支払うのです。
私たちに利息の1円を払い、日銀に100円払うということです。
これは銀行が日銀に預けている全てのお金にマイナスというわけではないようですが、一定額以上の金額についてはマイナス金利になります。
キャッシュレス決済
今までだと給料の支払いや、家賃の振り込みは銀行に口座を使ってそれを利用していました。
企業や個人でも同じですね。
ところがキャッシュレス決済が進むと、将来的には○○ペイなどで支払いが可能になることが考えられます。
銀行にお金を預けなくても決済や振り込みができるサービスが増えていくことが予想されています。
そうすると銀行の存在価値とは?というそういう世界がやってくるかもしれません。
- 日本銀行によるマイナス金利政策で利益が縮小。
- キャッシュレス決済の台頭で銀行の役割が薄れる。
このように銀行の存在価値が揺らいでいるので、今のような形の銀行はなくなるのではないかと言われています。
まとめ
金融という機能は必要です。
お金が余っているところから足りないところに流す、お金というのは経済の血液ですから銀行は金融システムの血管。
ですから銀行はこれからも必要なのですが、銀行以外のところもその機能をはたせるようになってきた。ということでしょうか。
そうすると今のような銀行で良いのか?というところがあり、それぞれが模索しているのではないでしょうか。
ITなど新しい科学技術が出てきたことによって、生活が変わるのは素晴らしいことです。
今後どんな生活が待っているのか、私たちは翻弄されないようにしなければいけないのではないでしょうか。